第二の人生のスタート
自分に戻った7月24日。
不思議となんの疑問も持たず、リハビリ室へ向かった。
言語のリハビリをしていた時のことだった。
自分が置かれた状況をその時気付かされた。
その時のリハビリは犬や、猫、鉛筆、車などの絵が描かれているカードを見て、ただ口に出して答えるだけのリハビリだった。
小学生、いや保育園児でもできるような簡単なこと。
でも、それができない。こんな簡単なことができないのだ。
頭では分かっていても、口に出そうとしても口にできない。
「いぬ」という単語か頭から出てこないのだ。
訳が分からなかった。
5分ほどやっていると「なんでこんなこともできないんだ。え?なんで?なんでだ?なんでだよ。。。」
意味がわからない。
私は言いたいことが口にできなくなっていたのだ。
いつの間にか私の目からは涙が流れていた。
悔しくて、悔しくて、悲しくて、もどかしかった。
勝手に目から涙が出てくる。
抑えきれなかった。
もう、泣きすぎて、リハビリどころではなかった。
私は自分が置かれた状態を理解した。
絶望感。喪失感。失望感。
その時の感情をなんと表せばいいのだろう。
自分の大事なものを失った気分だった。
そこにいるのは同じ自分でも、全く違う自分だった。
まさに絶望だった。
どん底に突き落とされた。そんな思いだった。
泣いて泣いて泣いて、泣いた。
その気持ちすら言葉に出せなかったけど。
いくら泣いても、いくら悲しい想いをしても現状は何も変わらない。
現状を知った私は強かった。
「元に戻りたい。」その一心だった。
「こんなのは嫌だ。こんな自分を受け入れてたまるか。」
すぐにリハビリに専念することを心に決めた。
どれだけ泣いても、どれだけ悲しくても、どれだけ切なくても、どれだけ辛くても誰も自分を救ってはくれない。
そう思った。そう感じた。
そして、神様は不平等だ。この世は理不尽だ。神様がいるのなら、神様を憎んだ。
でも、私はこうも思った。
「神様は自分にしかこの試練を乗り越えることができないから、この試練を出したんだ。」と。
まあ、どんなことを思ったって、現状は変わらない。もう、やるしかなっかた。
これから先、このまま生きていくなんて嫌だった。こんな自分じゃ嫌だった。
「元に戻りたい。」その一心で、7月24日、この日から私のリハビリは本当の意味で始まったのだ。
長い長いリハビリのスタートである。
新しい人生のスタートである。
こうして、私の第二の人生が始まった。
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